著名ブロガーの某カネックさんからのリクエストで、リールカスタムパーツのカラーアルマイトについてお話したいと思います。
”こんな話だれが聞きたいねん”と思いますが、普段どんな事を考えてパーツのカラーを付けてるのか、興味のある方は読んでみてください。
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リールカスタムパーツとアルマイト処理
こんにちは、ほぼフリッパーのかけづかです。
自分の現在の仕事はリールカスタムパーツの製造なんですが、扱う材料は主にアルミ合金(ジュラルミン)でして、完成したパーツには必ず表面処理をします。
その多くはアルマイト処理で、削ったジュラルミンはそのままだと表面が腐食してしまう事があるので、アルマイト処理をして表面を保護する訳です。
ところでアルマイトって何よ? となりますよね。
簡単に説明すると、”アルミの表面を酸化させて別の物質に変えてしまう加工処理”だと思ってもらえれば大丈夫です(たぶん。
リールカスタムパーツにはジュラルミンが使われる事が非常に多いです。というかほとんどジュラルミンだと思ってもらって間違いないですね。
そこに様々なカラーのついたアルマイト処理をしたものがよく見るリールのパーツとなってます。
主な目的は傷や腐食から製品を守るためですが、せっかくならキレイに色をつけてやろうという事ですね。
アルマイトは表面高度が高い
リールパーツで良く目にするカラーアルマイトですが、表面はかなり硬くなります。普通のヤスリが中々立たないぐらい硬くなるんですよ。
アルミの質量にもよるので一括にはできないですが、肉厚があるパーツなら多少雑に扱っても傷は付きにくいですね。
スプールのような肉厚が極端に薄い場合はアルマイトも薄くなってしまいますが、それでも傷や腐食に対してかなり強いです。
クラッチのように質量があるパーツはアルマイトと非常に相性が良いと言えます。
ちなみに市販のリールの本体はアルマイトではなく焼付け塗装がほとんどで、アルマイトにくらべると表面硬度は低いと言えますが、それが傷や打痕が付きやすいかは何とも言えないですよ。
塗装は弾力性があるので、歪や歪みに対して柔軟性があるとかないとか。すみません、そこはメーカーさんの考えがあるので主観でしか判断できません…。
アルマイト処理で苦労する事
現在リリースしているアルマイトパーツは多いもので12色のラインナップがありますが、狙ったカラーを出すのが大変なんですよ。
- レッド
- サファイアブルー
- スカイブルー
- ロイヤルパープル
- ガンメタ
- ブラック
- オレンジ
- ゴールド
- シャンパンゴールド
- ライムグリーン
- ピンク
- ディープ・パープル
上記カラーの他にクロームがあるのですが、それはアルマイトじゃないのでここでは除外しますね。
アルマイトの発色は条件によって変わるので、季節や天気によって配色を微妙に変えるらしいです。さすがにそのノウハウはアルマイト業者のトップシークレットなので深くは教えてもらえません。
「同じレッドなのに他のパーツと微妙に色合いが違うんじゃね?」というご指摘をユーザーさんからいただく事がありまして。いや、じつはそういう時ってあるんです(本当ごめんなさい。
まず同じアルミでも使用する素材が違うと発色は変わるんです。なのであらかじめサンプルを作ってデータを取るのですが、それでも湿気や温度の違いで色合いが変わってしまうんですよね。
そして凄くマニアックな話になるのですが、同じ規格の同じ材質でも製造メーカーが違うと発色が変わるんですよ。これはガチです。何度も痛い目にあってます(涙目。
例えば神◯製鋼の材料で作った時と、昭◯電工の材料では同じカラーをオーダーしても仕上がりが全然変わってしまうんですよ。どっちが良い悪いではなく、違うカラーになってしまうんです。
なのでリピートで生産する場合は必ず同じ製造会社の材料をオーダーするようになりました。しかしそれでもロットによって微妙に違ったりするんですよね。
あとはトライ&エラーの繰り返しでデータを取りまくって、できるだけカラーにムラが出ないように下処理をしないとダメなんです。
過去の数々の失敗から、アルミを洗浄する時の薬品も季節によって変えたりしてます。製品の形状によっては削り目を変えたりして発色を調整したりもするんですよ。
ザックリ言うと、表面を荒らせば色が濃く見えて、鏡面のように仕上げれば薄く見えるんです。同じカラーでも人の目にはそう映るんですよ。
なので切削の時に使う刃物を変えたり、切削条件を都度調整したりする訳です。
さいごに
カラーアルマイトって塗装とは全然違って、下地がアルミである事が見てすぐにわかるんですよね。鉄やステンレスとも違う、樹脂とも違う。それが童心をくすぐるんじゃないかなとか(笑。
昔ガンプラを塗装する時に『汚し』塗装をしたことがある人っていると思うんですけど、アニメの世界に入り込むためにリアルなテイストを再現しようとしたんですよね。
巨大ロボットはなにかの金属でできていて、その上から塗装かなにかをしてあるという設定な訳ですよ。それが戦闘で敵ロボットと組み合う時に擦れて、地肌である金属が見えてくる…、みたいな。
あるいはミノフスキー粒子がモビルスーツの表面に何らかの影響を及ぼして、活動時間と共に表面の塗装を侵食していく設定なのか。いやー、萌えるなー。
うーん、なんか中学生の頃から精神年齢が変わってないすねー(笑。
まあアルマイトってそんな感じですよ(謎。
また気が乗ったらなんか金属加工の話ししますね。
では。