意外な反響があったスプールベアリングリムーバーなんですが、これについて書いておきたい事はまだあったりします(笑。
何せマイナーチェンジを繰り返してますからね。
ここでスプールベアリングリムーバーType Rの隠れたコンセプトを紹介しておきたいと思います。
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ものづくりの究極とは対極
こんにちは、ほぼフリッパーのかけづかです。
HEDGEHOG STUDIOのロングセラーとなっているスプールベアリングリムーバーですが、実は自分が今の形をデザインさせてもらってというお話をしました。
その機能も大まかに紹介させてもらったのですが、今回は裏コンセプトについてお話させて頂きます。
いきなりですが、このツールは壊れるように設計してあります。
というと、せっかく買ってもらった方は驚かれるかもしれませんが、それは十字レンチの方ですので(笑。
本体はしっかり作ってありますので、永く使ってもらえると思います。
でも、レンチは本当に今も苦労してまして(汗っ。
これは本来ものづくりでは理想的ではないのですが、意図的に弱い部分を作って、無理な力がかかった時にその部分が破損するように設計しました。
それが十字レンチのシャフト部なんですね。
リールのスプールを守るため
具体的に説明しますと、十字レンチのネジ部からクロスシャフトが入ってる部分にかけて、軸の根元をあえて細く削ってます。
良く見てもらうとわかると思いますが、十字部の根元3mmほどの部分をコンマ一ミリ細く削ってるんですよ。
これはピンが堅くて抜けにくい時に、レンチを無理に回すとスプール側が壊れないようにしたためです。
リールパーツというのは繊細にできてますので、ツールの方が頑丈すぎるとスプール自体がゆがんだり、ピンが曲がってスプールシャフトから取れなくなったりするんですね。
それを回避するための対策として、わざわざその部分を細くしたんですよ。
それともうひとつ、破損した際にネジ部だけを残して折れてしまうと、ツールもろともスプールがダメになってしまうんですよね。
なので、シャフトが本体から残った状態なら、後でペンチなどで破損したシャフトを取り除く事ができるんですよ。
そうすると、スプールもツール本体もそのまま使えるんです。
レンチ単体なら本体を新たに購入するよりも全然安いですから、経済的にも良いのではないでしょうか。
先端のピンは交換式
もう一つ弱い部分を作ってるのがレンチ先端のピンです。
十字レンチの泣き所は先端のピン部が曲がって、レンチそのものが使えなくなってしまう事でした。
マシンによる1発加工だったので、当初ピンの部分だけを別に作るのが困難だったんです。
もちろん先端に穴を設けておいて、後からピンを差し込めば良かったのですが、そのピンが丁度良いものが規格にないんですよ。
そしてピンの素材に焼きを入れなければならないので、線径が安定せずキツかったり緩かったりで製品として成立しなかったんですね。
だったらいっその事、ピンを交換式にしてしまおうというアイデアが産まれたんですよ(笑。
これだったらレンチが折れる前に先端のピンが曲がるので、その時点で作業を止めればレンチの破損は防げるんですよ。
レンチも助かる、リムーバー本体も助かる、もちろんスプールも助かるので、ユーザーさんは嬉しいのではないか、と。
ピンの素材
でも、じつはピン自体は初期に比べて相当強化されてるんですよ。
初期の頃はレンチ自体を一体もので作ってましたからね。
なので先端のピンが曲がるとレンチそのものが終わるという感じでした。
それでもリムーバー本体は活きますが、レンチも単体で買うと数百円しましたから。
でも一体加工で作っていると、先端部だけを硬くはできなかったんですよね。
そこでピンを別部品にして、交換式にしてみたのですが、これが中々具合が良かったんです。
それも最初は普通のステンレスだったのを、段々と強くしていって、いまでは探しだした特殊素材を加工したものになってます。
ここだけの話、ロットが恐ろしい数作らないとダメだったので、まだまだ在庫があるはず(笑。
まあ、どんどん曲げてもらって、遠慮なく交換してください(苦笑。
とは言っても、以前に比べて簡単には曲がらないと思いますけどね。
ピンだけなら三本セットで300円になってますね。
これって手間賃だけですよ(笑。
最後に
HEDGEHOG STUDIO製のリムーバーはとても安いと思います。
これは社長のコンセプトが、ツールで設けようとは思ってない、というものだからですね。
HEDGEHOG STUDIOと言えばベアリングです。
そのベアリングに絶対の自信をもってるので、それを交換するツールも良いものでなければならない、という考え方なんですよね。
さすがにリムーバーをサービスするわけにはいかないですが、最低限の利益で提供させてもらって、あとはベアリングで判断して欲しいという事なんですよ。
とにかくベアリングを交換、またはメンテナンスするために必要なツールが簡単に破損したり、丸まる使えなくなってしまってはお客さんにベアリングの良さをアピールできないんですよね。
このリムーバーにはこのような裏コンセプトがあるという事を、頭の隅っこにでも置いてもらえらば幸いです。
[…] ● 【スプールベアリングリムーバーType R】の裏コンセプト […]