KDW製21ジリオン用オフセットクラッチ発売と並行して、交換作業を自分でやられる方に向けて分解・組み立てを解説したブログ記事を公開いたします。
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ダイワ製ベイトリールのクラッチ交換は難易度高め
こんにちは、かけづかです。
今回約3年以上ぶりにDAIWA製ベイトリールのクラッチを作りました。
なぜDAIWA製クラッチのラインナップが極端に少なかったかというと、やはり交換作業の難易度が高めという事に尽きると思います。
SHIMANO製ベイトリールの多くはスプールを外した後にネジ1本または2本外すだけで簡単に交換できました。
対してダイワ製ベイトリールのほとんどがかなり深い部分まで分解する必要があります。
ご自分でメンテナンスをされる方は良いですが、はじめてKDW製クラッチを付けるという方にはかなりハードルが高いと思います。
そんな方のために少しでも助けになればと思い、今回の記事を書いています。
なるべく初めての方にもわかりやすいように書いたつもりですが、それでも普段リールをバラす事が無い方にはやはりハードル高めだと思います。
『分解を始めたけど途中で何がなんだかわからなくなってしまった』という場合も安心してもらえるように、次の項で救済方法を記載しておきますので、ぜひ参考にして頂けたらと思います。

クラッチ取り付けサービス
じつは今回の21ジリオン用クラッチはGOLDWorksさんとのタイアップで、取り付けサービスがセットになった販売方法を検討しておりました。
GOLDWorksさんはリールメンテナンス・チューニングのプロで、KDWオフセットクラッチ全種類を取り扱ってもらってます。
そちらでクラッチを購入してもらえると工賃無料無しで取り付けをしてくれます。(注:往復の送料はお客様負担となります)
取り付けに自信がないけどカスタムクラッチは使ってみたいという方はぜひ利用してみてはいかがでしょうか。
準備するもの
分解手順を解説する前にあらかじめ用意しておくもの、揃えておくと便利なものをご紹介しておきます。
- プラスドライバー
- マイナスドライバー
- 平径2.5mm六角レンチ
- 平径10mmボックスレンチ(KDWクロスレンチ推奨)
- 極小マイナスドライバー(Eリングを外すのに使用)
- ピンセット(あると便利。100均でOK)
最低限上記のツールは欲しいです。
プラス・マイナスドライバーはできれば少し良いやつを用意してもらった方が作業性がアップします。
自分も愛用しているWERA社のものがオススメです。価格的にめちゃくちゃ高い訳でもないので、できればWERAで揃えておくと他のリールのメンテにも使えて便利です。
平径2.5mmの六角レンチはリールのボディーを固定してるネジを外す用なのですが、これもネットで探せば安いやつがありますので、それでも全然大丈夫です。
ただ今後自分でメンテナンスをしたいと思ったらちょっとだけ良いやつを買うことをオススメします。
作業効率が全然違うので。
21ジリオンSVTW分解手順1ハンドルまわり
さて前置きが長くなってしまいましたが、それでは本題の分解手順解説です。
まずはハンドルを外していきます。
ハンドルキャップを固定してるネジを反時計回りに回して緩めます。

↑ 画像のネジをマイナスドライバーで緩めます。

↑ ネジを緩めるとハンドルロックナットを固定しているキャップが外れます。

↑ 続いてハンドルロックナットを外します。左ハンドルなのでここは逆ネジなので時計回りに回すと緩みます。右ハンドルモデルは正ネジなのでこの逆で緩みます。

↑ ハンドルロックナットが外れました。

↑ そのままハンドルも外します。

↑ スタードラグを外す前にワッシャーを1枚外しておきます。

↑ 続いてスタードラグを外します。これもただ外すだけです。

↑ さらにスタードラグスプリングを外します。外した順番を忘れないように並べておく事をオススメします。

↑ 100円ショップ等で売っているダイヤヤスリでギヤシャフトの段差の部分を平らにしてやるとその後の作業がスムーズにできます。ネジ部を傷付けないように注意です。

↑ 続いてスタードラグナットを緩めます。これも逆ネジなので画像の方向に回すと緩みます。

↑ 次にドラグホルダーとドラグスプリング・スタードラグワッシャーを外します。入れる順番がわからなくなってしまいそうなのでいっぺんに外してしまっても良いです。

↑ 外した並びはこんな感じです。順番は組み立て記事の時にまた説明します。

↑ ハンドル回りの最後に薄いワッシャー(ハンドルベアリングワッシャー)を外します。これでハンドルとスタードラグが外れました。
21ジリオンSVTW分解手順2 スプールを外す
次にスプールを取り出します。
これは全く難しい事はないです。

↑ ボディー裏面にあるロックを解除します。


↑ ロックを解除するとサイドプレート(RSプレート)が外れます。これは取説にも書いてあるのでわざわざ解説する必要もないと思いますが(笑。

↑ プレートはずしたらスプールを取り外します。
21ジリオンSVTW分解手順3 サイドプレート(LSプレート)を外す
さて、ベイトリールの分解はここからが山場です。
多くの方がギヤボックスを開けるのを躊躇うのではないでしょうか(笑。
でも手順を間違えなければそんなに難しい構造ではありませんので、ぜひトライしてみましょう。

↑ 矢印マークのネジを緩めます。少し大きめのマイナスドライバーを使うと作業しやすいと思います。

↑ 正ネジなので反時計回りに回してやると緩みます。

↑ 外したネジをピンセットなどで抜いてやります。
次にリールの前部にある六角穴のネジをゆるめていきます。

↑ この部分は六角穴のネジになるので、平径2.5mmの六角レンチかドライバーが必要になります。 オススメはWERA118070。

↑ これも正ネジなので反時計周りに回して緩めてやります。
次にリール後部にある同じ六角穴のネジを緩めてやります。


↑ 同じく正ネジなので反時計回りに回してやります。ハンドル周り以外はほぼ全て正ネジだと思って良いです。

↑ ボディーを固定してるネジを合計3個所緩めたらギヤボックスがはずれます。この時中の小さなスプリングが飛び出してしまう恐れがあるので、かなり慎重に開けてください。

↑ ボディーのギヤボックスを外す時が一番部品を失くしやすいかもしれません。慎重に慎重に。
21ジリオンSVTW分解手順4 ピニオン&ドライブギヤセットを外す
無事にギヤボックス(LSプレート)を外す事ができたら、いよいよリール内部のパーツを外していきます。
まずクラッチヨークを押してるスプリング2個を取ります。ギヤボックスを開けた時に最初に失くす危険ラインキング1位のヤツです(笑。


↑ 続いてクラッチリングと呼ばれるパイプ状のパーツを抜き取ってやります。これもドライブシャフトが変形してると抜けないので、ダイヤやすりでパーツを研いでやる必要があります。

↑ 続いてメインギヤ(ドライブギヤセット)を抜いてやります。

↑ 続いてラチェットと呼ばれるパーツを外します。
21ジリオンSVTW分解手順5 ギヤシャフトを外す
ここからはネジで固定してる部品を外していく作業になります。
細かいパーツを外す作業が増えますので、くれぐれも紛失には注意しましょう。

↑ こちらも正ネジなので反時計回りに回して緩めます。


↑ ネジを緩めたらギヤシャフトを引き抜きます。
21ジリオンSVTW分解手順6 ウォームシャフトギヤを外す
次にウォームシャフトギヤを外します。
ここで恐怖のEリング外しという工程が出てくるのですが、上の項で過去記事にも書いたビニール袋にリールをすっぽり入れた状態で作業すると飛ばしても失くす心配はないですよ。

↑ ウォームギヤを留めているEリングを極小マイナスドライバーでこじって外します。Eリングを外す専用のツールもあるのですが、個人的にはこの方法が一番やりやすいです。

↑ じつはこの方法が一番Eリングを飛ばす危険が少ないと思ってます。

↑ Eリングを外した後はマイナスドライバー等で下から浮かすようにウォームシャフトギヤを外します。
21ジリオンSVTW分解手順7 クラッチカム周りを外す
さて、だいぶ深いところま分解が進んできました。
ここから先が一番の難関と言っても良いですが、クラッチカム周りの分解です。
もうすぐクラッチが外せます。

↑ ベイトリールの構造の核ともいうべきクラッチカム周り。

↑ クラッチカムプレート(C)を固定しているネジを2本緩めます。しつこいようですが、ここも正ネジなので反時計周りに回して緩めます。

↑ クラッチカムプレート(C)が外れました。
続いてクラッチカムプレート(B)を外すのですが、これを外すとクラッチカム周りが一気にバラバラになるので、指で抑えながら作業するようにしてください。

↑ 矢印のネジを緩めます。もちろんここも正ネジなので反時計回りに回してください。

↑ ネジは一気に緩めず、ある程度緩めたらクラッチカム周りを静かに外してみてください。

↑ ネジの下に薄くて黒いワッシャーが一枚ありますが、意外と大事な役目があるのでなくさないようにしましょう。

↑ あとはそーっとクラッチカムプレート(B)を引き抜いてやります。

↑ キックレバー&キックレバープレートスプリングを外します。これは付けておいても良いのですが、無くさないように一応外しておきましょう。

↑ ここでやっとクラッチを外す事ができました‼️

↑ どうですか。レベルワイドを残してほとんど全バラしした21ZILLION SVTWです。中々大変な作業ですね(汗。
さいごに
ここまで書いておいて何ですが、そもそもクラッチの取り付けを絶対に自分でやらなければいけないという事はありません。
リールの構造に詳しいショップのスタッフさんにお願いできればそれでも良いですし、リールメンテナンスを生業にしてる方にお願いするのも手だと思います。
ただ、自分のリールを分解できるようになるとある程度メンテナンスをする事ができて、メーカーや専門のチューナーさんにお願いする事は減ると思います。
プロにメンテナンスをお願いすると混んでる時期は時間かかったりしますしね。
なのでこれを機会に自分のリールを見直すキッカケになってくれれば良いかなと思います。
とは言え決して無理はせず、出来ないものは出来ないと割り切る事も大事ですし、この記事がその判断材料になってくれれば幸いです。
[…] DAIWA21ジリオンSVTWの分解解説(クラッチ交換まで) […]