2016年9月に書いた記事を加筆修正しました。
新品状態のDaiwaジリオンですが、クラッチプレートが抜けないという問題が発生してから一年以上が経ち、再び同じリールをバラしてみたのですが、どうなってたのでしょうか。
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シャフトの構造
みなさんこんにちは、リールメンテナンスアマのカケヅカ( @kakedukaSS )です。
以前の記事でここ数年に出たDaiwa製リールのドライブギヤが抜けないという事を書きました。
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2014年あたりからのタトゥーラやジリオンがそうだったんです。
で、これは切削不良なのでは?と疑っていたのですが、どうもそうではないようです。
誤った解釈をお詫びすると共に「おそらくそうであろう」、と言う説を書いてみます。
ギヤシャフト端部の潰れ
これはあくまでも推測ですが、結論から申しあげます。
ドラグディスクWがギヤシャフトから抜けない理由は”シャフトの潰れ”ではないかと。
こう考えると、すべての事がつじつまが合うというか。
実はアベイルの社長である翠川さんにお話したら、そうではないかという指摘を頂いたんですよ。これについてはご本人から了承を頂いて書いてます。
ハンドルをセットした後にロックナットを締めますよね?そのロックナットは、Daiwa製リールはJIS規格のM8ナットなんですよ。
で、ドライブシャフトにある段差にハンドルが乗っかるのですが。
その段差がほとんど無いんです。
その際にロックナットを締めるとハンドルで段差が潰れて段差のエッジがラッバ状態になるのではないか、と。
シャフトの素材
これは自分も勘違いしてましたが、ギヤシャフトの素材はジュラルミンとの事。最初はチタンだと勘違いしてました(汗っ。
やはりジュラルミンだとハンドルが揉まれれば変形する事は考えられます。
それがパワーハンドルだと余計に段差部分に負荷がかかりますらね。
[blogcard url=”http://kakedzuka.com/2016/01/post-1553/”]
これは素材がジュラルミンである事と段差部分の削りが少ない事が原因であると思われます。
もしも素材がブラス(真鍮)かチタンであったなら、こうはなってないのではないでしょうか。
あるいはステンレスならジュラルミンのハンドルには強度的に負けないのだと考えられます。
他のリールはどうなのか
では、なぜDaiwaのリールだけにこの現象が起こるのでしょうか?
それはおそらく精度の高さが仇になってるものと思われます。
現在主要三社のリールを見ると、AbuとDaiwaが8ミリのロックナットです。
で、SHIMANOだけが7ミリのロックナットなんですよね。
SHIMANOのリールはドラグワッシャーが8ミリでハンドルロックナットが7ミリです。
つまりネジが二種類になってます。
これはハンドルを固定した時に揉まれてつぶれるのを想定しているものと考えられます。
で、Daiwaのリールはドラグワッシャーとハンドルロックナットが同一のネジになってます。
なので、ハンドルを固定する段差が大きく取れない構造なんですね。
でも、Abuは全くこの現象がおきません。
これはメーカーの方向性の違いなのか、Abuのパーツはクリアランスを大きく取ってあるので影響無いようです(笑。
Daiwaの場合はシャフトに対してドライブギヤがキッチリし過ぎてるのが仇になってるようですね。
加工ミスではなかった
ここできっちりお詫びをしておきます。Daiwaユーザーの方々、大変失礼しました。
Daiwaリールは精度甘くないです。加工に関しても、切削の際のミスではなかったようです。
加工ミスではなく、言ってみれば設計ミスかもしれませんね。
バラす事を前提には考えられてないという事でしょうか。
きっと新品をハメ込む際にはスムーズだったのでしょう。
なのでドライブシャフトに対してドライブギヤがガタ付くという事はないものと思います。
ただし、やはり実際にギヤが抜けないのはどうしようない事実です。
今後はシャフトのネジを二種類にするなど、対策が必要だと思います。
いろいろと社内の規定みたいなものがあるのかもしれませんが(汗っ。
それと、部品の点数が多すぎるのも何とかなりませんかね(苦笑。
DaiwaジリオンSVTWその後
最初にZILLION SVTWを分解してから一年以上が経ち、再び同じリールをバラしてみたのですが、ギヤシャフトに潰れは無く、ドラグディスクWはすんなり抜けました。
まあフィールドでガンガン使用したリールではないので、大した負荷がかかってなかったのかもしれません。でもパーツのフィッティングに使ってるので、色んな人間がハンドルを回したりクラッチを切ったり入れたりはしたはずです。
でもギヤシャフトにはまったく潰れた形跡がないので、一度ねじ山を整えてやればその後の使用においては問題ないという事なのでしょうか。
これは実際に実機をフィールドで使い倒してみないと何とも言えないんですけどね。
でも新品状態ですでにネジの端部が潰れてた訳ですから、フィールドでの使用が原因だとは考えにくいです。
おそらく製造工程上の寸法と、組立時のトルクのかけ方のバランスも問題だったのではないでしょうか。
Daiwa TATULA SV TW 8.1Lの場合
これまでジリオン以外(T3や旧タトゥーラなど)にも同じような事例は耳にしたのですが、その後のDaiwa製ベイトリールでは改善されてるようです。
例えば自分が人生初となるDaiwa製ベイトリール、Daiwa TATULA SV TW 8.1Lを新品状態で分解した時には、ギヤシャフト端部の潰れは全くありませんでした。
さいごに
Daiwaのベイトリールはパーツの点数が多く、分解をためらう方も多いかと思いますが、TWS機構までバラさなければ何となくメンテナンスは出来ます。
今回確認できた事は、一度ギヤシャフトのネジ端部を整えてやれば、その後は普通の使用でつぶれる事は無さそうです。
もしも潰れてしまったとしても、100円ショップで買ってきたダイヤモンドやすりで研いでやれば抜けるようになりますので、そこまで心配ないかと。
まあ数十数百台とバラした訳ではありませんが、それで一応の結論とさせて頂きますね。(分解についてはあくまでも自己責任になりますが)。
それでは。
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