レンタルボートで使う21ゲーターマウントの泣き所といえば、エレキシャフトを固定するためのクランプ部のネジ穴。
これがグズグズになってしまった人を過去何人も見てきたのですが、その補修の方法を紹介します。
ただし専用の工具か設備がないと中々難しいので、トライする際は自己責任で宜しくお願いします。
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レンタルボート用21ゲーターマウント
こんにちは、ほぼフリッパーのかけづかです。
仕事としてはお受けしないのですが、21ゲーターマウント(MotorGuide)のクランプのネジ穴補強をやってみたので作業内容を紹介したいと思います。
依頼主は亀山ダムのスーパーロコにして房総チャプターで毎年上位のプロガイド・イタヤマンこと板山雅樹氏。
KDWのラダーPROスクエアの考案者であり、非公認KDWフィールドテスター。いや本人は否定してますが勝手にそう呼んでます(笑。
自分と板山氏は亀山ダムで開催される房総チャプターで一緒なのですが、エンジン&マイボート禁止のフィールドなのでレンタルボートにエレキが主な動力になるんです。なのでレンタルボート戦に特化させた仕様という訳。
2019年に開催されたForward Blue第1戦で自身が冠スポンサーだったにも関わらず優勝するという空気の読めない男でもあります。
そんな亀山ガチトーナメンターのエレキマウントを預かる事になりました。
ゲーターマウントのネジ穴がグズグズ
さて、自分も過去に経験があるのですが、21ゲーターマウントや16ゲーターマウントはアルミに直接ネジ山が切ってあるので、繰り返し使ってると雌ネジがグズグズになってしまうんですよね。
レンタルボートで使ってると、朝の準備と釣り終わりの片付け時で、必ず日に2回以上ネジを外して締めてを繰り返します。
ハイパワーエレキを使う場合は特にガッチリ締め込むのですが、その分ネジに負担がかかってるんですよね。
元々21ゲーターマウントはバスボートで使う前提なので、頻繁にクランプボルトを開け締めする事は想定されてないんですよね。
なので日本のレンタルボートで使うのは色々と無理があったりする訳です。ノーマルの21ゲーターマウントは鉛バッテリー並に重いので、軽量化とコンパクト化のために長さをカットして使うのが一般的になって久しいです。
バスボートでの使用が前提なだけあって、マウント自体は相当に頑丈なので、あとはクランプのネジ穴さえ補強できればかなり長い年数使えると思うんですよ。
そんな訳で今回商売抜きでひと肌脱いだという訳です。いや、大した事はしてないですが(笑。
21ゲーターマウントのネジ穴を【イリサート】で補強
アルミや樹脂などの柔らかい金属にネジを切る場合、ネジ穴がグズグズになるのを防ぐ補強方法として『イリサート』という方法があります。
プラスチック・ジュラコン・ナイロン等の各種樹脂材、アルミ・ダイキャストなどその他の軟金属材において、強度・耐久性・対摩耗性を求められる雌ネジ部、また製品修理などでタップ穴の補修をする場合に最適です。
従来、一般的には断面図が菱形のステンレス鋼線をスプリング状にした物を使っています。
そのスプリング鋼線を専用タップ溝に沿って挿入しますが、鋼線の一部でも専用のタップ溝に入っていないと、内径タップ穴が形成できません(ピッチ飛び)。
また挿入後工具引っかけ部(タング)を折り取る必要があり、その時スプリング自体を変形させる事が多く、挿入不良等トラブルの原因となっていました。
イリサート®はこれ等のトラブルを解決するために開発されました。
イリサートはタングレスですからタングの折り取りは不要です。
挿入作業も極めて簡単で、片手で挿入でき作業者の熟練も不必要なので作業性に優れます。
このイリサートを21ゲーターマウントに埋め込んで固定してやります。
この加工やるの久しぶりだなー。
21ゲーターマウントのネジ穴補強に使う工具類
普段あまり見る事がないかもしれませんが、ネジ穴を開けるための専用工具(刃物)を紹介します。
●M12✕P1.0タップ
●Φ10.5ドリル
●専用タップハンドル
●電動ドリル等々
②タップを切る
これだけ
一応今回使用した工具や刃物を紹介しましたが、M12のタップを切る作業は中々一般の方には無理があると思われます(汗。Φ10.5のドリルを加えられる電動ドリルなんて持ってないでしょうからね。
ちなみに自分はマシニングセンタで加工しました。はい、無駄に精度出てます(笑。そこまでいかなくても、せめて汎用のボール盤がないと真っ直ぐ穴を開けるのは難しいです。
知り合いに金属加工に精通してる方がいればお願いしてしまった方が良いでしょうし、ぶっちゃけショップさんに頼んでしまった方が早いかもしれません。
ネジ穴さえ開けてしまえば後は簡単なんですけどね。
イリサートの固定は永久固定の接着剤
イリサートは入れ込むだけでも固定できるとなってますが、やはり接着剤を併用した方がより安心。
ここは外す必要がない箇所なので、永久固定の接着剤【LOCTITE 638】を使用。これはマジでメチャ強力に固定できます。ただし多少のコツはありますが。
いやしかし、こればマジで個人でやるのはオススメできませんが、ガッツのある方はトライしてみてください。
金属加工に従事してる方は楽勝だと思います。
電車で上野まで納品
ここからは完全に関係ない話ですが、オマケだと思ってお付き合いください。
作業のお礼に一杯奢ってくれるというイタヤマン。ただ待ち合わせ場所の上野までマウント付きのバウデッキを持ってくるようにと(マジか。
カットしてあるのでそこまで重くはないですが、それでもコレをもって電車に乗るのは中々勇気が入ります(笑。
しかも駅まではチャリだし。
まさかこんな使い方をする事になるとは
モーターガイドの人ごめんなさいm(__)m pic.twitter.com/AZdW2Ezqoc
— かけづか:プレゼント抽選会当選発表‼️ (@kakedukaSS) February 10, 2020
無事に上野駅まで付いたは良いが、マウントを持ったままウロウロする姿は完全に不審者(汗。良く職質されなかったなと(笑。
しかしイタヤマン、話してみると意外と(?)真面目で熱い男です。仕事熱心だし。
釣りの事はもちろん、これからの業界での生き方など、あっと言うまの数時間でした。
板山さんごちそうさまでした。
その日の事をブログに書いてもらってますが、もうちょっと良い事書いてくださいよホント(汗。
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さいごに
レンタルボート関連の加工やパーツ制作は将来的に仕事の軸にしたいと思いながら、中々出来ずにいます。
なのでたまにこうしてマウントの加工修理をやるのは楽しいですね。
イタヤマンはトーナメンター兼プロガイドとして、年間釣行日数は相当なものですから、良いテスターとして仕事に貢献してくれてます。
もちろん彼の方にもメリットが無ければ意味がないので、こちらもできるだけの事をしたいと言う思いがあり今回の作業を引き受けた感じです。なのに奢らせてしまった(笑。
普段自分(カケヅカ)の事をフリッパーと呼ぶイタヤマンですが、話が盛り上がってくると50歳のオッサンの事をイジりだします。完全に年上だと思ってないんだよなー(笑。
でも何となく波長が合うというか、彼も色んな意味でプロなので、価値観が近いのかもしれません。
そんなイタヤマンの21ゲーターマウントですが、ネジ穴の心配をすることなくガンガン使える事でしょう。
今回紹介したネジ穴補修のやり方は、専用工具がないと難しいとは思います。
でもやってやれないことは無いので、やる気と興味のある方はトライしてみてください。
では。