21ジリオン用クラッチの交換をサポートするため分解組み立て手順を解説した記事の後編、組み立ての手順を解説します。
ここから先は分解より難易度が高いかもしれません(汗。
それでもご自分で作業してみたいという方のために頑張って書きました。
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こんにちは、かけづかです。
前回の記事ではクラッチを外すところまでの分解手順を解説しました。
今回はクラッチを交換して組み上げるところまでを解説いたします。
上にも書きましたが、リールはバラすより組み上げる方が難易度は高いと思います。
バラすにはバラせたけど、その後組めなくなってしまったという経験がある方もいるのではないでしょうか。
自分も未だに、組み上がった後に部品が余ってしまい、それがどこの部分なのかわからなくなってしまうなんて事はあります(笑。
そんな時に見返して確認できるように本記事を書いているという側面もあったり。リアルに自分で書いた分解組み立て記事を一番見てるのは自分かもしれないと思ってますから(笑。
そのぐらいリールの分解組み立てはややこしいです。
しかしこの記事を見てくれてるという事は、自分でクラッチ交換、またはオーバーホールにトライしようとしている方だと思うので、なるべくわかりやすいように解説していこうと思います。
21ZILLION SVTWの組み立て手順解説1 クラッチ交換
それでは21ZILLION SVTWの組み立て手順を解説していきます。
今回はKDW製クラッチへの交換を前提に書いていきますのでご了承ください。
とは言え純正のクラッチでも手順はほぼ一緒です。
↑ バラバラになった21ZILLION SVTW。これにカスタムクラッチをセットします。
まずバラしたボディーにクラッチを当てていきます。
↑ 今回はマットブラックのクラッチをチョイス。
↑ クラッチ側面のバナナ状の穴を確認してください。これをボディーから出ている突起にはめ込んでいきます。
↑ ボディーのハンドルと逆側から出てる突起に先ほどのバナナ状の穴を合わせていきます。左ハンドルの場合、上画像のような位置です。
↑ クラッチをあてがったらサイドからクラッチカムプレート(B)を差し込んでいきます。ちょっとコツが要ります。
↑ 一旦クラッチを外してもらって、クラッチカムをそのまま差し込んでみてください。この位置関係を覚えておいてもらうとリール本体への取付がスムーズにイメージできると思います。
↑ 先ほどのイメージで今度はリール本体にセットした状態で行います。
↑ まずは入るところまで押し込んでください。この時あまり無理に押す必要はありません。
↑ 別の角度から見てみます。クラッチの下からクラッチカムプレート(B)を貫通するようにピンセット等で上に向かって押し上げながらクラッチカムプレートを押し込んでやります。
↑ さらに別角度から見たところ。マイナスドライバーでクラッチカムプレートを押し上げながらボディー側からは反対方向に押し込んでます。
↑ 画像の丸の部分が平らになるぐらいまで押し込めたら大丈夫です。
↑ クラッチカムプレートをセットしたら、ネジで固定します。まずは画像の黒いワッシャーを乗せます。
↑ ワッシャーを乗せたらクラッチカムプレートを固定するためのビスをワッシャーをずらさないように回していきます。
↑ ビスがワッシャーに触らないように時計周りに締めていきます。
21ZILLION SVTWの組み立て手順解説2 クラッチカム周りを組む
クラッチの取り付けの次はクラッチカム周りを組むのですが、ベイトリールを組む上でここが一番の難関だと思っても良いぐらいです。
部品を紛失する危険度が高い箇所になりますので、作業は慎重の上に慎重を重ねて進めたいと思います。
それではキックレバーとキックレバープレートスプリング(以下スプリング)を組んでいきます。
ここはスプリングを飛ばしてしまう確率の高い作業になりますので、自信の無い方は大きめのビニール袋に入れたまま作業する事をおすすめします。
↑ キックレバーとキックレバープレートスプリング(以下スプリング)を用意します。
↑ まずスプリングを本体ボディーの穴に差し込んでおきます。この順番は作業する人によって違うかもしれませんが、自分はこの方法が楽だと思います。
↑ スプリングにキックレバーを差し込みます。
↑ スプリングとキックレバーをセットした状態。ここからクラッチカムにハメこんでいきます。
↑ キックレバーをクラッチカムに組む前に、クラッチプレート(B)を固定しているビスを一旦緩めて置きます。完全にはずさないようにしてください。
↑ クラッチカムプレート(B)の固定ビスを緩めた事でクラッチカムを浮かす事ができるので、そこにキックレバーをハメこんでいきます。ここが難関(汗。
↑ クラッチカムにキックレバーをハメこみ、さらにクラッチカムを本体にキッチリハメこみます。これを同時にやらなければいけないで結構コツがいります。
↑ クラッチカムとキックレバーを組んだら、キックレバーをスライドする溝?に入れてやります。クラッチカムを持ち上げながらやるので、この時バラバラになってしまわないように気をつけます。
↑ クラッチカム・キックレバー・スプリングが綺麗に収まったらクラッチプレート(B)を固定しているビスを再度締めます。この時黒いワッシャーをちゃんと噛まないようにしてやります。
↑ ワッシャーが隙間に入り込んでしまうと動作不良の原因になりますので、一度ビスを完全に取ってしまって調整し直すぐらいで良いかと。
↑ きっちりワッシャーがネジ穴の真ん中にくるように調整してやります。プレートを指で押してやるとわずかにネジ穴の突起の方がプレートより出っ張るので、ワッシャーが座ると思います。
↑ クラッチカムとキックレバー・スプリングをはめ込んでビスを固定したところ。この状態にするまでが最大の難関だったと思います。無事にできたでしょうか。
21ZILLION SVTWの組み立て手順解説3 TWS周りを組む
TWSの動作を正常にするためにクラッチカムプレートとウォームシールドを重ねていきます。
↑ クラッチカムプレートをマイナスドライバー等で持ち上げて、ウォームシールドに重ねてやります。
↑ クラッチカムプレートとウォームシールドを重ねたら、ちゃんとTWSがクラッチの動きと連動するか確認しましょう。クラッチを切った時にTWSが倒れればOKです。
↑ 続いてクラッチカムにクラッチカムプレート(C)を組み込んでいきます。
↑ クラッチカムプレート(C)はまず片方のビスだけを本体につけておいてから作業した方が楽だと思います。それを軽く締めておきます。
↑ 片方のビスを仮留めしてからもう片方のビスを締めていきます。ネジの紛失に注意です。
↑ クラッチカムプレート(C)までを組み終わったらクラッチをONOFFして動作を確認しましょう。 この時点で切り感は味わってもらえます。
21ZILLION SVTWの組み立て手順解説4 ウォームギヤを組む
最大の難関箇所をクリアしたら、あとは段々難易度が下がっていきます。
次の組付けはウォームギヤです。
↑ ウォームシャフトにウォームシャフトギヤを組んでいきます。
↑ ギヤがついてない状態のウォームシャフトは本体に埋まってしまってる場合があるので、レベルワインダーを画像の矢印の向きに押し出してやります。
↑ ギヤの穴には向きがあって、ウォームシャフトの方と穴位置が合わないと入らないようになってますので注意です。
↑ ウォームシャフトにギヤをはめこんだところ。シャフトの突起が飛び出してるのがわかりますでしょうか。ここにEリングで固定します。
↑ ウォームシャフトの出っ張った部分にEリングを当ててはめこみます。自分はラジオペンチを使いますが、他の工具でも何でも良いです。ただEリングを飛ばしてしまいやすいので、ここでもビニール袋にリールをすっぽり入れておいて作業する事をおすすめします。
↑ 無事にウォームシャフトにギヤを固定したら、指でギヤを回してやってレベルワインドが動くか、ちゃんと往復するか確認しましょう。
21ZILLION SVTWの組み立て手順解説5 ピニオン&メインギヤを組む
ここまでできると後は部品を重ねていくだけです。
紛失の恐れはほぼ心配ないでしょう(笑。
それではギヤシャフトをセットしていきましょう。
↑ ギヤシャフトを入れる場所を確認します。
↑ ギヤシャフトを固定するビスは2個所ですが、ギヤを回さないと見えないので、本体のネジ穴に2個所の穴が合うようにします。
↑ ギヤシャフトをセットしてネジ穴が除いたら、皿ビスで2個所を固定していきます。
↑ ギヤシャフトを固定したら手で回してみて、レベルワインドと連動してる事を確認します。
↑ 次にクラッチヨークとピニオンギヤを組み付けていきます。
↑ ピニオンギヤとクラッチヨークを組んだものを本体にセットします。ピニオンを受けるベアリングは寸法がタイトなので、真っ直ぐ差し込んでやらないと入りません。
↑ ピニオンギヤとクラッチヨークをセットしたところ。クラッチヨークの向きが逆だと最後までリールを組んだ時にクラッチが切れません。自分は過去何度もこのミスをやらかしてますのでご注意を(笑。
21ZILLION SVTWの組み立て手順解説6 メインギヤ周りを組む
ここから先はもう難しいところはありません。
パーツの順番だけ気にしてれば大丈夫です。
それではメインギヤを組んでいきましょう。
↑ まずラチェットとラチェットWを入れていきます。ハンドルを回してクラッチを戻すための機構ですが、向きがあるので気をつけましょう。
↑ まずはラチェットを入れます。画像の向きで入れてください。逆向きだとクラッチが戻りません。
↑ ラチェットをドライブシャフトに入れた時は白い樹脂のギヤとの間に隙間が無いようにします。この角度から見て隙間があったらしっかりハマってないという事です。
↑ ラチェットに続いてラチェットWを入れます。
↑ まずはここまで大丈夫でしょうか。
↑ 次にメインギヤを組んでいきますが、ギヤの中にドラグWを入れてドライブカラーで蓋をする感じです。注:前回の分解記事ではドラグWが一番上にきてましたが、それだとドラグが効きませんので間違いでした。中古で買って分解したまま載せてしまいました。失礼しました。
↑ ドライブカラーの側面には音出しピンという極小のピンが入ってるのですが、これはなくすと探し出すのは非常に困難ですので、引っ張り出さずにそのままセットしてしまうのが良いです。
↑ まずメインギヤの中にドラグWを入れます。
↑ メインギヤにドラグWを乗せてからドライブカラーと呼ばれる音出しピンのついたプレートを乗せてやります。音出しピンは紛失しやすいので注意です。
↑ 組んだ状態のメインギヤセットをギヤシャフトに押し込んでやります。ちょっと硬い場合がありますので、両手で押し込んでやります。
↑ ギヤシャフトにラチェットとメインギヤを組んだ状態。
↑ 横から見た時に各パーツの間に隙間がない事を確認します。
21ZILLION SVTWの組み立て手順解説7 LSプレートをつける
内部のパーツをほぼ組んだところでLSプレートというサイドカバーを付けていきます。
↑ カバーを付ける前にクラッチヨークから出ているクラッチカムプレート(C)にスプリングをセットしておきます。
↑ 画像のようにスプリングを2個所差しておきます。ボディーをセットした時にクラッチヨークを押してやる役目のものですので、特に固定されてはいません。失くしやすいパーツの上位ランカーでもあります(笑。
↑ 後からでも良いのですが、自分は画像のクラッチリングと呼ばれるパーツは先にドライブシャフトに差しておきます。
↑ 画像のように差し込んでやればOK。
↑ シャフトの根本まで差し込んでおきます。
↑ ハンドルの逆転防止のワンウェイクラッチが入っている部分にベアリングを入れます。
↑ ワンウェイクラッチ部にベアリングをセットしたら、やっと本体ボディーにLSプレートをセットです。
↑ ワンウェイクラッチ部にドライブシャフトをはめ込んでいきます。
↑ メカノブキャップから内側にシャフトが伸びてますので、これをピニオンギヤの中心に差し込んでやります。
↑ ドライブシャフトとピニオンシャフトの両方を同時に差し込んでやります。ちょっとコツがいりますが、丁寧にやれば大丈夫です。
↑ ピニオンシャフトとドライブシャフトを同時に差し込みながらLSプレートをハメこんでいきます。
↑ 本体ボディーとLSプレートを隙間がなくなるまでハメこんでください。ハメ合いの突起がありますので、その部分をパチンと音がするぐらい押し込んでやります。
↑ 本体ボディーとLSプレートがピッタリ付くまで押し込んでやればOKです。
↑ 本体とLSプレートをはめ込んだらビスで固定します。
↑ 2本ある六角穴のビスの長い方をフロントに使います。正ネジなので時計方向に回すと締まります。
↑ 六角穴ビスの短い方をリヤに。
↑ 通常のプラスネジやマイナスネジに比べて六角穴のネジは強く締まってしまいます。力加減を程々にしないと破損の原因になるので注意です。
↑ 次に本体ボディー内側の穴にビスを入れて締めていきます。
↑ この箇所のビスはマイナスネジになってます。こちらも正ネジなので時計周りに締めていきます。ネジ頭を舐めないように注意です。
↑ これで本体の内部が固定されました。
21ZILLION SVTWの組み立て手順解説8 ハンドル周りを組む
ここまできたら作業の8割は終わったようなものです。
さあもうすこし!
続いてハンドルを組んでいきます。
↑ ドライブシャフトにドラグパーツを組んでいきます。
↑ ドライブシャフトに最初にいれるのが画像にあるワッシャーです。
↑ ハンドルベアリングワッシャーと呼ばれるベアリング保護のためのワッシャーです。
↑ 忘れる率の高いパーツなので気をつけましょう。自分も最後に余って頭に?マークが出た事が何度かあります(笑。
↑ 続いてドラグホルダーと呼ばれるパーツを入れていきます。
↑ 裏表を間違えないようにしましょう。
↑ 次にドラグSP・Wと呼ばれるドラグスプリングを二枚セットで入れます。
↑ このパーツは裏表で向きがあります。必ず隙間ができるようにセットにします。
↑ 二枚合わせた時に隙間ができるようにしないとドラグを締めた時に機能しません。画像のようになるようにしてください。
↑ 続いてスタードラグWを入れます。これも裏表がありますので気をつけます。
↑ 画像のように黒っぽいコーティングがある方を見えるように入れてください。
↑ 続いてスタードラグナットを入れます。これはネジになってるので回して入れていきます。これは逆ネジなので反時計回りに回すとしまります。ややこしいですよね(汗。
↑ ほとんどの左ハンドルのベイトリールはハンドル周りのネジが逆ネジになってます。他のネジと締める方向が逆なので覚えておくと良いですよ。
↑ ドラグナットを適度に締めたら、続けてスプリングをセットします。ドラグナットに丸い溝が切ってあるのがわかると思います。
↑ 画像のようにスプリングをセットします。
↑ 続いてスタードラグをセットします。
↑ スタードラグナットを締め込んだ時にギヤシャフトと向きを合わせてやるとこの後スタードラグを入れる時にスムーズです。
↑ スタードラグをドライブシャフトに入れてスタードラグナットに被せてやります。
↑ 画像のようにスタードラグとボディーの黒い部分の隙間が無くなれば上手くハマってるという事になります。ここの隙間があるとハンドルが上手くセットできません。
↑ スタードラグを差し込んだら指で抑えておいて、画像にあるワッシャーを入れます。
↑ スタードラグを抑えたままハンドルをハメこみます。
↑ ハンドルをしっかりおさえておいて、ナットで固定します。
↑ ハンドルロックナットを反時計周りに回して締めていきます。
↑ ある程度手で締めたあとは専用工具を使って締め込んでいきます。オススメもちろんKDWクロスレンチ(笑。
↑ ガタツキがないようにしっかり締めてください。とは言え締めすぎないようにほどほどに。
↑ ハンドルキャップを被せる時にロックナットの向きは画像のようになってるとネジ穴の位置が合ってます。微調整して向きを合わせてやりましょう。
↑ ハンドルロックナットを締めたらハンドルキャップを被せます。
↑ ハンドルキャップを被せたら固定ネジを締めます。ここは正ネジなので画像の方向に回します。
21ZILLION SVTWの組み立て手順解説9 スプールを入れて完成!
ハンドルをセットしたら、あとはスプールを入れてRSプレートをセットして完成です。
↑ スプールをセットします。
↑ RSプレートをセットして、あとはロックするだけ。
↑ ロックをして…
完成‼️
ここまでお疲れ様でした。
如何でしたでしょうか。DAIWA製ベイトリールのクラッチ交換は結構大変だと思いますが、ここまでやると自分でやると達成感は凄くあると思います。
今回はクラッチ交換のための解説でしたが、セルフメンテナンスにも流用してもらえる記事だと思いますので、皆様のお役に立てれば幸いです。